comScore社の2009年9月の米国検索エンジンランキングの調査結果によると、検索エンジン市場ではGoogle関連サイトが全体の65%を占めていますが、Youtubeはその中でGoogleに次いで2番目にシェアが大きく、その検索クエリ数は米Yahoo!やBingよりもかなり大きなものになっています。

http://www.youtube.com/

私にとってYoutubeは、特に仕事の上で調査が必要になったことがあるわけでもなく、これまで1ユーザーとして利用しているだけでした。

ですが、こういう数字を見て、改めて気になっていたところ、たまたまiMediaConnection.comに10月16日に投稿されたDrew Hubbard氏の『10 SEO tips for YouTube』、9月28日にlink spielで公開されたDebra Mastaler氏の『You Shouldn’t Use YouTube For Building YouLinks』という記事を読み、結構面白かったので、この機会に自分用のメモもかねてまとめることにしました。

Youtube SEOのための10のヒント

まずは『10 SEO tips for YouTube(Youtube SEOのための10のヒント)』です。

Hubbard氏が記事のポイントとして挙げているのは次の3点です。

  • YouTube videos can rank well on both YouTube itself and on search engine results pages
  • Include links to other social media channels wherever possible
  • Open videos to commenting and embedding to ensure they are shared and discussed
  • Youtubeの動画はYoutube自体とSERPsの両方で良い順位を得ることが可能
  • 可能な限り他のソーシャルメディアへのリンクを含める
  • 確実に共有され議論されるよう動画へのコメントと共有をオープンにしておく

その上で、Youtubeの動画ページを最適化するにはコンテンツ・リンク・アーキテクチャという一般的なSEOの3つの原理に従う必要があり、それにはページに何を置くかということと、それをどこに置くかということを考えることが大切だと解説しています。

そのために、まずは次のような基本を踏まえておくことが必要になります。

まず、Youtubeに投稿された動画はそれぞれ個別のページを持っています。また、投稿された動画から自動的に、タイトル、メタ・キーワード、メタ・ディスクリプションが付与されます。この時に注意すべきは、投稿された動画そのものは(少なくとも現時点では)クローラーに認識されず、クローラーはその周囲のコンテンツから動画の内容を間接的に把握しているということです。ですから、付与されるタイトルやメタ、あるいはカスタマイズ可能なページ内のコンテンツを最適化することが大切です。

さらに、Youtubeにはブランド・チャンネルとユーザー・チャンネルの2つのチャンネルがあり、Youtubeヘルプなどを通じて、その違いを把握しておくことが大切になります。

これらの予備知識を踏まえて、以下の10のヒントを実行することがYoutube動画の最適化に繋がります。

  1. プロフィールページ内のどこであれ、可能なところにはリンクを入れる。
  2. 動画名を適切なものにした上で、そこに「動画」というキーワードを入れる。(多くのユーザーが「動画(video))」という言葉を含めて検索するため)※「video」をここでは「動画」と訳しています。日本語だと、「ビデオ」・「動画」・「映像」などいくつか選択肢がありそうです。
  3. 投稿動画にはユニークでキーワードを含んだディスクリプションを書く。この時、「詳細」が開かれなくても構わないように、必ず最初に誘導したいページへのURLを書いておく。
  4. 投稿した動画の説明を書いておく。これは検索エンジンが動画の内容を把握する助けになる。
  5. Youtubeのキャプションやアノテーション機能を活用し、動画ページの「詳細」に追加したリンクへの誘導を行う。
  6. 動画をキーワードでタグ付けする。関連キーワードがあればそれもタグ付けする。
  7. スパムやアダルトコメントの監視は必要になるが、動画へのコメントと共有を許可しておく。また他の人気のある動画へのレスポンス投稿の採用を検討する。これは他の動画の成功に便乗できると同時に、そこからユーザーを自分の動画へ誘導する手段にもなる。
  8. 動画にはロゴなどのウォーターマークを入れる。動画編集の際にこれらが常に表示されるようにしておく。
  9. 動画をクリックしてもらうのに大きなインパクトを持つサムネイルを挿入する。
  10. Youtube Insightsを通じて、動画の状態を分析する。

こうすることで、Youtubeの動画ページを最適化し、Youtube上と一般検索エンジン上で良い順位を確保することに繋がるということです。

リンク構築のためにYoutubeを使ってはいけない

一方でYoutubeをSEO目的で使うべきではないと主張しているのが、Mastaler氏の『You Shouldn’t Use YouTube For Building YouLinks(リンク構築のためにYoutubeを使ってはいけない)』です。

彼女がその理由として挙げているのは以下になります。

  • Videos on YouTube are on YouTube so any optimization effort you implement helps YouTube and not your website/pages.
  • YouTube contributes to the pinking of the ‘Net/Web (uses nofollow) so any link you insert to guide people back to your site passes no link popularity.
  • While traffic from YouTube can be beneficial, you have to optimize the content on YouTube like any other in order for people to find it. This is time better spent elsewhere.
  • Efforts to make a video go viral begin with the webmaster, not YouTube
  • It’s doubtful you’ll build a brand following on YouTube unless the public is already aware of your brand.
  • By-n-large people look for information on a search engine first, they don’t search on YT for a place to buy baseball cards. There is a reason Google has become a verb and YouTube a pastime.
  • Youtube上の動画は所詮Youtube上にある。だから、あらゆる最適化の努力はあなたのサイトではなくYoutubeを助ける行為になる。
  • YoutubeはNet/Webを駄目にすることに貢献している(nofollowを使っている)。あなたが挿入したあらゆるリンクはリンクポピュラリティを得ることができない。
  • トラフィックは利益に繋がる一方で、あなたは他のものと同様、人々が見つけられるようにYoutubeのコンテンツを最適化しなくてはならない。別のことに時間を費やすほうが良い。
  • 世間が既にあなたのブランドに気付いているのでなければ、あなたがYoutube上でブランドを構築できるかどうかは疑わしい。
  • 一般的に見て、人々はベースボールカードを探すのに、最初に検索エンジンで情報を探し、Youtubeでは探さない。そこにGoogleが動詞になり、Youtubeが娯楽である理由だ。

これに加えて一番の問題としているのが以下です。

YouTube results bump web pages down in the general search results and web pages make sales , videos don’t!

「Youtubeは一般的な検索結果のランクを下げる結果になるし、ウェブページは売り上げになるけど動画はならない!」

つまり、Mastaler氏が意味しているのは、SERPsのトップにビデオが表示されることで、そのキーワードにおけるウェブサイトの順位が引き下げられるということなのでしょう。

彼女の結論はこうなっています。

If your goal is to make your website an authority in your industry/niche, you should house and promote the videos on your site, not YouTube. This will help with algorithmic authority, branding and traffic.

「もしあるウェブサイトをある産業やニッチ分野における権威にしたいなら、自分のサイトで場所を作り、動画を宣伝すべきで、Youtubeでそれをすべきではない。それがアルゴリズムの上での権威とブランディング、そしてトラフィックを促進することになる。」

彼女は続けて、「とはいえ、第2の検索エンジンを完全に無視するつもりはない」として以下の提案を行っています。

  • Make shorter versions of your video’s and insert on YouTube, longer vid stays on your site
  • Create those shorter versions as teasers and as a lead-in to promotions/information on your site
  • Be sure the start and ending frame of the vid include the URL to your website
  • Optimize your YouTube listing with your keywords
  • Be the first one to leave a comment/review under your vid, include the URL to your website and explain a longer more detailed version of the vid exists on your website
  • Encourage everyone you know to drop a comment/review on the video (re/views help push your vid to the top for your keywords)
  • Create a video area on your site just as you would a media room and promote it to the media, your customers, vendors etc.
  • Make the vid’s on your website available through Creative Commons, make full descriptions embedded with kw rich links part of your attribution.
  • 動画の短縮バージョンを作って、Youtubeに投稿し、長い方のバージョンはサイトに置いておく。
  • 短縮バージョンはウェブサイトの情報や宣伝のための先行広告や前置きとして作成する。
  • 動画のフレームの最初と最後にサイトへのURLを置く。
  • キーワードでYoutubeのリストを最適化する。
  • 自分の動画の最初のコメントとレビューを残し、ウェブサイトへのURLとより長くより詳細なビデオがウェブサイトに存在することを説明する。
  • 知っている全ての人に動画のコメント/レビューを残すよう勧める。(閲覧とレビューがキーワードで動画をトップへ押し上げる助けになる。)
  • メディア・ルームのような動画コーナーを作成し、それをメディアや顧客、ベンダーに宣伝する。
  • クリエイティブ・コモンズに基づいて、ウェブサイト上の動画を利用できるようにしておき、キーワードを含んだ、サイトへのリンクを含む記述を埋め込んでおく。

まとめ

Drew Hubbard氏の『10 SEO tips for YouTube』とDebra Mastaler氏の『You Shouldn’t Use YouTube For Building YouLinks』はどちらも、そのままテクニックとして使えそうな内容を含んでいるのですが、面白いのは両者の意見が、Youtubeに対して異なる立場に立って展開されていることでしょう。

特定のキーワードで動画が優先して表示されることや、Youtube内のリンクが基本的にnofollowを含んでいることなどが、直接的なSEO効果を生み出すことに繋がりにくく、そこで意見が割れているようにも思いますが、両者の意見は決して相反しているわけではなく、むしろYoutubeページの最適化を考える際には、補完的な役割を果たします。

個人的には例えば、商品・企画など、それ自体へのPRを行いたい場合には、Youtubeは積極的に活用されるべきですが、ページやウェブサイトを上位に表示させたいケースなどでは、Youtubeはあくまでリンク構築その他の補助的な役割に利用すべきだと考えています。その際、ニーズに合わせて上で挙げられているようなテクニックをうまく組み合わせれば、色々と応用も可能になるはずです。