すでに各所で解説されていますが、GoogleのMatt Cutts氏が自身のブログで「ゲスト投稿(guest blogging)」をかなり厳しく非難する記事「The decay and fall of guest blogging for SEO」を投稿し、話題を呼んでいます。
「ゲスト投稿」または「ゲストブログ」とは、誰かの運営するブログにゲストとして記事を投稿したり、誰かに自分の運営するブログに投稿してもらうことですね。主にブログのトラフィック増加を狙ったり、知名度を上げる目的だったり、異なる顧客層へのリーチだったり、(付き合いだったり、)します。
また、今回Cutts氏が問題にしているように、SEOのリンク獲得を目的としたものもあります。
例えば、Cutts氏が自身に届いたメールの内容から例示しているように、「謝礼」と共に、あるブログにクライアントの高品質な記事を投稿させてくれたらブログの価値が上がりますよ、といって声をかけ、見返りに「dofollow」リンクを求めるような手法だったり、自由に投稿できるブログシステムを用意しておいて、リンク構築に利用できるようにしたりといった方法でしょうか。
「ゲスト投稿はあまりにもスパムっぽくなってしまった」
Cutts氏の主張を一部引用すると以下のような感じです。
2014年になってもゲスト投稿をリンク獲得手段として利用しているなら、たぶんやめておいた方がいい。なぜって、時間とともにますますスパムっぽい手法になってきているし、あなたがゲスト投稿をたくさん行っているなら、本当にろくでもない業者と付き合いがあることになるからだ。
だから作業は終わらせよう。ゲスト投稿は終わった。それはあまりにもスパムっぽくなってしまった。個人的に保証しても良いと思える人や良く知っている人でない限り、普通はゲスト投稿を引き受けない方がいい。同じように、リンク獲得戦略としてゲスト投稿やゲスト投稿サイト、またはゲスト投稿SEOに頼るのはお勧めしない。
もうお分かりだろうが、人々にリーチするためのかつての頼れる手法は崩壊した。それがどんなにスパムっぽくなってしまったかを考えると、Googleのウェブスパムチームがゲスト投稿の将来にもっと懐疑的な目を向けることを望む。
NGなのは「ゲスト投稿」そのものではなく「SEO目的のゲスト投稿」
ただ、上記の引用からも分かるようにCutts氏はすべての「ゲスト投稿」をダメだといっているわけではなく、あくまでSEO目的のスパム的な手法を問題視しています。
私は細部にこだわることで大局を疎かにしようととしているわけではない。ゲスト投稿をするに相応しい理由はまだまだたくさんある(露出やブランディング、リーチの増加、コミュニティなど)。そういった理由はGoogle以前から存在し、これからも続いていくだろう。そして、間違いなく素晴らしく、高い技術を持ったゲスト投稿者は存在している。
ただ膨大な低品質ないしスパムっぽいサイトが、リンク獲得戦略として「ゲスト投稿」にしがみついていること、そして、ゲスト投稿を行うもっとスパムっぽいを企みを見かけることを強調したいだけだ。だから、誰かが手を伸ばしてきてゲスト投稿記事を提案したら、懐疑的な態度をとること(または少なくとも警戒すること)を勧める。
要はランキングを不正に操作するような「ウェブマスター向けガイドライン」の違反に当たるゲスト投稿に警鐘を鳴らしたということでしょう。
その意味ではこれまでの態度から変化があったわけではありませんが、繰り返し警告してきたにも関わらず巧妙化していく「ゲスト投稿スパム」に業を煮やした感もありますね。
記事内ではこれまでのCutts氏自身の動画とともにGoogleのJohn Mueller氏が2013年にゲスト投稿内のリンクに「nofollow」を付けるよう提案したことにも触れられています。
本格的な対策の前触れ?
ただ、ここまで強く警告したということは、本格的な対策の前触れとみてもいいのかもしれません。
メディアを装って低品質の発リンクを量産するブログやサイト運営者をだますように投稿された記事は確かに不要ですし、個人的にそれらがGoogleによって駆逐されていくならば歓迎したいです。
とはいえ、最近はてブのホッテントリやGunosyなんかで見かけるサイトの中には積極的に外部の人にブログ記事の投稿を依頼しているサイトも結構見かけるようになりましたし、その中には(昨今のまとめブームもあり)良質な記事へのリンクを掲載している記事も多くあるように思います。
Cutts氏の今回の投稿を受けて、運営者がリスクを避けたくなった結果、そういった投稿記事からのリンクが全て「nofollow」に変わって良質なリンクを得る機会が失われることがないよう願いたいですね。