新しいMatt Cutts氏の動画が投稿されました。
「有料リンクとはなにか」というタイトルの動画で、Googleのウェブスパムチームが「リンクが有料リンクかそうでないかを判定する基準」について詳しく解説しています。

長めの動画ですので、以下ではポイントを箇条書きにし、それに簡単な解説を添えたいと思います。

動画の解説によると、まずは、きわめて明白な有料リンクで、「人々が上位表示するためにページランクに基づき、ページランクを流すリンクにお金を払うこと」です。ほとんどがそれに当たります。

しかし、実際にはそれ以外のものもあり、それらが有料リンクかどうか判断するのに用いられる基準として次のものがあるとのことです。

  • ギフト、商品またはサービスの価値がどの程度か
  • ギフト、商品またはサービスがどれだけ現金に近いか
  • ギフトか貸与か
  • 対象が誰で、目的は何か
  • それが第三者にとって意外なことかどうか

ギフト、商品またはサービスの価値がどの程度か

Cutts氏は、例えば、カンファレンスなどで非常に質の悪い無料のTシャツをもらったところで、誰かの態度を変えるにはいたらないが、「リンクのために600ドルを払ったなら、それには大きな価値がある」といいます。このペンやTシャツから非常に価値あるものに至るまでの範囲が基準となります。

ギフト、商品またはサービスがどれだけ現金に近いか

Cutts氏によると「判断するとき、常に現金にどれくらい近いのかを見ている」とのことです。
例えば、ギフトカードは換金可能であり問題となりますが、試供品の香水を贈ることやビールをおごるのはあまり問題ではありませんし、ディナーおごってもらって、それを記事に書く場合でも、特別に豪華なディナーとかでなければ問題ありません。

ギフトか貸与か

現物支給に近いギフトが問題になります。
例えば、試し乗りのために車をレンタルしたり、レビューのための書籍やカメラを一時的に貸りて記事を書く場合には問題ありませんが、車やカメラを贈られることは現物支給に等しく、問題となります。

対象が誰で、目的は何か

SEO目的であるかどうかが問題です。ほとんどの場合、お金を払ってリンクを得るというのがSEO目的なのは明らかです。しかし、例えば、カンファレンスなどでサービスの無料利用権を与えた場合、その対象は潜在的な顧客で、またその目的は顧客の獲得やサービスの口コミのためであって、SEOが目的ではありません。GoogleI/Oでタブレット用アプリのためにNexus7が配布されるのも同様です。

それが第三者にとって意外なことかどうか

例えば、映画の評論家が、映画館に連れて行かれたり、その際にそれが無料になったりしてもそれほど驚くことではありません。
ある人にラップトップを要求し、その対価としてその人のスタートアップについて書くというのは問題で、公表されるべきことです。


以上から、私なりに理解すると次のような場合が、有料リンクと判定されることになりそうです。

  • リンクに対し現金やそれに近いもの、あるいは非常に高価なものが提供されていること
  • (公表された目的のための)貸与ではなくて、ギフトというかたちで何かを提供し、リンクを期待すること
  • サービスのPRや試供を目的とせず、リンク目的で何かを提供すること
  • 一般的に考えて、リンクを張る条件が不適切で意外であること

こうしてみると、実際に張られたリンクの背景がどうなっているのかまで厳密に知るのは難しく、明確に有料リンクだと見なすことは簡単ではなさそうですが、Googleが有料リンクをどのように考えているかを知る助けにはなります。もし自分の行動が有料リンクに当たるかどうか疑問に思われた方がいたら、上記の項目と照らし合わせてみるといいかもしれません。

今回は比較的長い動画だったのと、個人的に少し分かりづらいところもあり、記事にするのに思った以上の時間がかかってしまいました。もしかすると適切に意味を汲みとれていない部分もあるかもしれませんので、英語が得意な方はぜひ一度動画を見てみてください。