先日、Googleの公式ブログWebmaster Central Blogの記事「Handling legitimate cross-domain content duplication」の中で、正式にクロスドメインに対応した正規化タグが有効になることが発表されました。
これまで、正規化タグ(<link>
要素rel="canonical"
属性)はドメイン内でのみ活用できるものでした。その辺りに関しては当ブログの「Googleがクロスドメイン対応のcanonicalタグの導入を公表」でも取り上げましたので、ご存じない方はそちらを参考にしてください。あるいはGoogleの「ウェブマスター/サイト所有者 ヘルプ「rel="canonical"
属性について」を参考にしていただくのがいいでしょう。
今回のニュースはそれが正式に導入されるというもので、現時点(2009年12月17日)ではまだ日本語のヘルプには反映されていませんが、英語版に切り替えると、既に以下のような記述があります。
Can
rel="canonical"
be used to suggest a canonical url on a completely different domain?There are situations where it’s not easily possible to set up redirects. This could be the case when you need to migrate to a new domain name using a web server that cannot create server-side redirects. In this case, you can use the
rel="canonical"
link element to specify the exact URL of the domain preferred for indexing. While therel="canonical"
link element is seen as a hint and not an absolute directive, we do try to follow it where possible.完全に異なるドメインで正規のURLを示すのに
rel="canonical"
属性を利用できますかリダイレクトを設定するのが簡単ではない場合があります。これはサーバーサイドでのリダイレクトを行うことができないウェブサーバーを使って新しいドメイン名へ移動する必要がある場合がこれに当たります。この場合、
<link>
要素rel="canonical"
属性でインデックスさせることが望ましいドメインの正確なURLを特定することができます。<link>
要素rel="canonical"
属性がヒントであり、完全な命令ではないと見なされる一方で、我々は可能ならばそれに従います。
では実際にはどのような場合にクロスドメインで正規化タグが利用出来るのでしょうか。公式記事にはQ&A形式での説明がありますが、詳細や邦訳は既に鈴木氏が「Google、ドメイン間の rel=”canonical” タグのサポート開始」で紹介されていますので、ここでは箇条書きにして紹介します。
- ページの内容は全く同じでなくても良いが、少なくとも類似している必要がある。
- 非正規ページのURLは正確に正規ページのURLに対応させなければならず、非正規ページのURLを全て正規サイトのホームページ(トップページの意)に向けることが望ましくない。
- 公開を複数の場所で行うような場合、正規化するかどうかは両者の合意によるべきで、相手がそれに同意している場合、正規化タグを使用してもらうのも良い。
- サイト・ドメインの移動には301リダイレクトが望ましい。Googleは正規化タグをあくまでヒントに使うだけであり、またGoogle以外の検索エンジンがクロスドメインの正規化タグをサポートするとは限らない。
- 正規化タグとメタ要素の
content
属性noindex
は同時に使われるべきではない。
ここから見る限り、Googleはまだ今後の対応についてかなり慎重な態度をとっているといってもいいと思います。無関係なサイトから意図的にrel="canonical"
を使って、正規URLの評価を高めようという動きも予測されますし、そもそも機能自体がまだ完全ではないのだと思われます。またGoogleはひとつの要因だけで、正規のページを決めるようなアルゴリズムを採用してはいないとも思われます。
前回の投稿で「但し、この件については、Googleのシェアが圧倒的なアメリカやイギリス等ではとても大きな意味を持ちますが、日本ではその効果は限定的です。Yahoo!やBingは依然として、ドメイン内でのrel="canonical"
属性の採用を表明し、その実現に取り組んでいるに過ぎず、それですら年内の採用が期待されるに留まっているからです。」と書きましたが、この状況はまだ大きく変わっているとはいえません。
それどころか、Yahoo! Japanにしても、Bingにしても、正規化タグの導入以前に、まだ301リダイレクトの処理さえ適切に行われているとはいえない状況にあります。(Yahoo!に関しては、亀田氏の記事「Yahoo!アルゴリズムアップデート後のおかしな現象」や木村氏の記事「Yahoo!インデックスURLにご注意を!」などで詳しく書かれていますので、そちらを参考にしてください。)
とはいえ、Google向けにだけでも、クロスドメインの正規化タグを導入しておく価値はあると思います。とりわけ、複数のサイトやブログを運営していて、重複コンテンツによる被リンク価値の分散に悩んでおられるウェブマスターには今回のGoogleの対応は嬉しいことではないでしょうか。
但し、Googleの説明にもありますが、Googleはあくまでこの機能をヒントとして使うということのようですし、他の検索エンジンとの兼ね合いもありますから、可能であるならば301リダイレクトや、それができない場合でもメタリフレッシュによるリダイレクト措置を暫定的に使用することを検討すべきだと思います。この辺りに関してはパシフィカス氏の「リダイレクト設定(301、302とmeta refresh)」や藤井氏の「絵で見る最適化「実践!SEOも考えたサイト移転」」を参考にしてください。
正規化が必要となる重複コンテンツの問題で、私が個人的に懸念しているのは、まず我々自身の問題であり、これは正当に評価された被リンクをいかに分散させずに、正規のコンテンツへと導くか、という問題です。現時点で正規化タグにこだわるのはこの部分ですね。
もうひとつは他者によるウェブマスターの知らないところで行われる重複コンテンツの問題です。現時点では、どの検索エンジンもこの問題を解決するに至っていません。最終的には、ページではなくコンテンツそのものを正規化するための何らかの対策が求められます。最近、どの検索エンジンもリアルタイムのインデックスを行おうとしていますし、これが促進されることで、もしかすると少しでもその問題の解決につながるようになるかもしれないという淡い期待は抱いていますけれど。
いずれにせよ、重複コンテンツの問題は検索エンジンにとっても、ウェブマスターにとっても可能な限り早い解決が望まれる問題ですし、今回のGoogleによる正規化タグのクロスドメイン対応は歓迎すべきことだと思っています。
2009年12月19日追記
Bingの正規化タグの導入についての情報が入ってきましたので、追記します。
Search Engine LandのMatt McGee氏の投稿「Bing Still Working On Canonical Tag Support, Suggests Other Ways To Manage Duplicate Content」によると、Bingもまたクロスドメイン対応のrel="canonical"
導入を予定しているものの、ドメイン内での正規化タグ対応自体、導入は数カ月先になるとのことです。
この件についてはSEMリサーチの渡辺氏が紹介されています。詳しくは同氏の記事「Bing、URLを正規化するrel="canonical"のサポートは2010年以降」をご覧下さい。