Disqusによって構築されたコメント欄

Econsultancyに投稿されたAndrew Girdwood氏の投稿「Free your blog comments from SEO and improve your SEO(あなたのブログのコメントをSEOから解放し、あなたのSEOを改善しよう)」はタイトルそのままにコメントを最適化することで、ブログに投稿されるSEO目的のコメントから解放され、同時に、SEOを改善するための方法について書かれています。

Girdwood氏の主張は、コメントによって互恵的な効果を得るためには、いわゆるコメント・コミュニティ構築サービスを用いるべきだ、というもので、例として、「Disqus」、「Intense Debate」そして「ECHO(旧JS Kit)を上げています。

これらコメント・コミュニティ構築サービスは既にご自身のブログに採り入れている方もいらっしゃると思いますが、ご存じない方のために説明しておきますと、それぞれのサービスにブログに投稿されるコメントをブログとは異なる場所に保存し、コメント部分だけをひとつのコミュニティとして独立させるものです。

その上でJavaScript等を用いて、そのコメントの対象となっているブログに、改めて外部から呼び出したものとしてコメントを表示させます。この時、コメント投稿者は、サービスによって異なりますが、TwitterやFacebookのアカウントを通じてログインしてコメントすることができるだけでなく、そのコメントを同時にTwitterに投稿することも可能になります。

Girdwood氏によると、従来の直接ブログに投稿されるコメントには次の2点において、問題がありました。

  1. コミュニティが欠如していること
  2. コメントが断片化していること

コミュニティの欠如

ブログに投稿されるコメントは、ソーシャルではあるものの、きわめて限定されたものである場合がほとんどです。たいていの場合、あるユーザーの2つコメントは、同じブログ内であっても、別々のものとして認識され、それらにつながりが欠けています。

また、Movable TypeやWordpressのようにいくつかのユーザー認証機能を用いて同一のユーザーによるコメントを同一のユーザーによるものとして認識する機能を備えたブログであっても、それはあくまで、そのブログ内やせいぜいそのブログシステムのコミュニティで共有されるだけのものでした。

コメント・コミュニティは、そうしたブログ内におけるコメント間、あるいはブログ間の活動を全てユーザーに帰属させるという横断的な役割を備えています。もちろん、あくまで、そのコメント・コミュニティを用いているブログ間及びサポートされているサービスのみに限定されますが、その認証機能としてOpen IDやTwitterアカウント、Facebookのアカウントを用いることで、そのユーザーのソーシャルな活動をより広く捉え、またその活動をそのユーザーに帰してくれます。

Girdwood氏の説明を踏まえていうならば、コメント・コミュニティは、次のようにコミュニティの欠如というものをうまく補ってくれる役割を果たします。

  1. コメント投稿者が同一のアカウントを用いて、コメント・コミュニティを利用している複数のブログをまたがって活動することで、コメントがそれぞれのブログではなく、コメント投稿者に帰属し、彼らのソーシャルな活動になること。
  2. コメント投稿者が同一のアカウントを用いてコメントを投稿し、そのコメントのクオリティが高ければその投稿者のソーシャルな活動が評価されるシステムがあることによりコメント投稿者がよりクオリティの高いコメントを投稿しようというインセンティブが働く可能性が高くなること。
  3. 1や2の中で積極的なコメント投稿者は、コメントを投稿したブログに関するコミュニティ構築を促してくれるだけでなく、その投稿者自身が、そのブログ記事に対する記事を書き、リンク構築にも役立ってくれる可能性が高くなること。

コメントの断片化

同じように、従来コメントは、ソーシャルメディア等を介して、様々な場所で行われてきました。例えば、Twitterにおいて、誰かがあるブログ記事を紹介したことに対し、リツイートやコメント、そしてそれに対する返信など、本来ブログ記事に対して行われてもおかしくないようなコメントが、そのブログとは基本的に関係のない場所で行われてきました。この点においてコメントは複数の場所において断片化され、ブログ記事の投稿者がその記事に対する議論を追いかけようとしたとき、様々なサービスや時にはテクニックを用いて丹念にそれを追求していく必要がありました。

しかし、コメント・コミュニティを導入することで、これらの断片化はコメント・コミュニティ自体が、ブログ投稿に関するコメントについて、ソーシャルメディアを監視するため、ブログ投稿をめぐる議論や話し合いが補足され、オリジナル記事の下に(リアクションという形で)集められることで、限定されてはいるものの、断片化の解消を促す作用を持つことになります。

コメント・コミュニティの持つSEO効果

ではタイトルにも上がっているこれらコメント・コミュニティの持つSEO効果とは何なのでしょうか。
それはコメント・コミュニティによるコメント表示の裏側に隠されたnoscript機能や、別の場所に作られたコメントのログからの被リンクを得ることで、自作自演的に数的なリンク構築を行うこととは少し異なります(やりようによってはできなくもないと思いますが)。

そうではなく、ここでいうSEO効果とは、コミュニティを通じて自分のブログに作り出されたコメントや、自分のブログに投稿されたコメントがコミュニティに反映されること、あるいはソーシャルメディア内において、言及された自分のブログ記事とそこへのリンクを通じて、ブログへの比較的質の高い流入経路を手に入れやすくなるからというものです。

ソーシャルメディアが盛り上がっていますが、口コミやブックマーク等コミュニティで言及されることによって発生するリンクは今後、SEOにおいてもさらに重要度を増してくると思います。といいますか、本来それこそがとてもオーガニックなリンクであり、自作自演的なリンクより高い評価を得るべきだとも思います。

また、Javascriptで生成されるコメント投稿欄は結果として、SEO目的のコメントの軽減にも繋がります。つまり、まず自動投稿スパムに補足されにくくなるということと、旧来型のリンク構築目的のコメントを防ぐことができるからです。

これらのことから、記事のタイトルである「Free your blog comments from SEO and improve your SEO(あなたのブログのコメントをSEOから解放し、あなたのSEOを改善しよう)」という言葉につながってくることになります。

代表的な3つのコメント・コミュニティ構築サービス

Girdwood氏が紹介しているコメントコミュニティは、冒頭にもあげましたが、「Disqus」、「Intense Debate」そして「ECHO(旧JS Kit)です。

1. Disqus

Disqus

Disqusは今回の記事を書くに当たり、当ブログでも導入しましたので、実際にどのようなものかは、当ブログ内のコメント欄を見ていただければと思います。またDisqusによって作成された当ブログのコメント・コミュニティは次のURLで見ることができると思います。

DISQUS Profile | seomode

DisqusではFacebook、Twitter、Open ID、Yahoo! ID等でログインすることができ、Friend FeedやTwitter、Digg、Reddit、Blogger、Movable Type、WordPress等を通じて該当記事へのリアクションを知ることが出きます。

設定も楽で、簡単に導入出来るのですが、Girdwood氏によるとスパム投稿へのフィルタリングが必ずしも万全ではないようです。例えばWordPressなどではAkismetを併用する方がよいといっています。

Disqusに関しては次の記事が参考になると思います。

2. Intense Debate

Intense Debate

Intense Debateも同様にTwitterやFacebookのリアクションを集めることができます。個人的にはなんとなく使いにくかったので利用するのはやめました。Girdwood氏はIntense Debateに関して、「ECHOほどにリアルタイム・ソーシャルメディアのトラッキングに長けているわけではなく、Disqusのように強いコミュニティと言うわけではないが、相対的に安全」と書いています。

Disqusに関しては次の記事が参考になると思います。

3. ECHO

ECHO

ECHOはかつてJS Kitという名で提供されていたシステムを再ブランド化したものです。3つの中で、断片化したコメント(リアクション)を収集する能力はかなり優秀だということですが、コミュニティが小さく弱いようです。また無料なのは30日間だけで、その後有料になるのもいただけません。

ECHOに関してはTechCrunch Japanの記事「一箇所でWeb上の全部を見れる!?ECHOのリアルタイムコメント集積サービスをTechCrunchでテスト」で詳しく説明されていますので、そちらを参考にされるといいでしょう。

皆さんもお好みのものを見つけて、試してみられてはいかがでしょうか。

関係ありませんが

SEO云々の話とは関係ありませんが、当ブログも、しばらくTopsy Widgetsを使っていたのですが、コメントやトラックバックと混じり合って、分かりにくかったですし、Twitterに限定されていたこともあったので、今回思い切ってDisqusに切り替えました。海外生まれのサービスだけあってはてな等に対応していないのは残念ですが、TwitterとFacebookに対応しているだけでも十分価値はあるように思いますし。国産のいいものがでればそれが一番いいんですけれどね。

特に問題がなければ、しばらくDisqusを使い続けてみようと思います。試してみたいと思われた方は、この記事の下のコメント欄にでも試して頂いても結構です。できれば、記事やブログに関係あるコメントが嬉しいですけれど、あまり細かいことはいいませんし ;)。