先日、Twitter上で鈴木氏(@suzukik)から突然、”@tyto_style Why don’t you translate this interesting article? http://goo.gl/3wz8 What level do you think you are at now?“とメンションを頂きました。

じっくり読んでみて、確かにこの記事は面白いな、と思いましたので、紹介することにします。

ブログ記事のタイトルは「The First Five Levels of Blogging」。『LifeReboot』のShaun Boyd氏による投稿で、「ブログの最初の5つのレベル」とでも訳せばいいのでしょうか。全訳は大変ですし、適宜抜粋し、解説を交えつつ紹介していくことにします。ちなみに、スラング混じりの箇所は雰囲気です。私はスラングはかなり苦手ですので、英語が得意な人はぜひ原文を読んでみてください。

ブログの最初の5レベル

記事の書き出しは次のようになっています。

1日に1000ドルを稼ぎ出すブログがある。LifeRebootはそのひとつじゃない。(…)
僕はLifeRebootが大成功を収めるブログになる途上にあると考えていたい。そうなれるのかなんて知らない。僕が知っているのは僕が2007年の僕のブログのデビュー以来、技術的なものや個人的なものといった多くの障害に取り組んできたってことだ。結果として、僕が学んだのは直接的な経験から得た「ブログのレベル」の最初の5つについてだった。

レベル0: ブログとは?

最初のレベルはレベルってほどのもんじゃないよね? それは現象なんだ。君は華々しく新しいブログを始める。今まで書いた中で最高の初投稿を行う。創作物を誇り、友人や家族とリンクをシェアするし、ついでにソーシャル・ブックマーク・サイトを使ってそれを宣伝し始める。君は直ぐに学ぶことになる。誰ひとり気にも掛けないってことを。

初めてブログを作った時は、本当にこのブログは何か致命的な問題があるんじゃないかと思うぐらい、誰も気にかけません。それが著名人であるとか、セミナー等で活発に活動していたとか、そういった人でない限り、記事が読まれることもありませんよね。かつてFC2などの無料ブログで記事を書けば誰かがコメントをしてくれるような時もありましたが、今ではそんなこともなくなってしまいました。

ほとんどのブログはこの段階より先に進めない。レベル0は君がブログに関するアイデアを持つ場所だが、それは行きつく場所を持たない。

Boyd氏がいうには、それはブログがありふれたものだということに由来しています。多くの新しいブロガーが、彼自身について書くことから始めるため、新しく立ち上げられたブログの多数が「ありふれたオンライン日記(just another online diary)」に過ぎず、受け入れられません。ブロガーがひとりで盛り上がり、そして誰も自分に関心がないことに気づき、書くのを辞めてしまうことになります。つまり、レベル0でのブログというのは「見捨てられたブログ(the abandoned blog)」の状態にあるわけです。

Boyd氏によると、「平均で、新しいブログが有名になるのに33カ月がかかる」そうです。そうした状況から抜け出すには、ありふれたコンテンツを作るブログ群から抜け出せるような「ニッチ」ブログを作ることが近道になります。「つまり、明確に定義された目的を持つブログを作るんだ」ということになります。とはいえ、誰も関心を示さないほどニッチなものであれば逆効果です。そして、もっとも重要なのは書き手が楽しめる内容かどうかという点にかかってきます。

レベル1: 初収入

レベル1は「認知(recognition)」に関するレベルです。お金が稼げるかどうかは別として、このレベルに到達すると何らかの嬉しい出来事があるものです。このレベルをBoyd氏は「レベル1は君のママ以外の誰かから初めて賞賛される」レベルと表現しています。問題の解決に役立ったことに関するいきさつをつけて感謝を込められたメールが送られてきたり、寄付の仕組みがあれば、誰かからのいくらかの寄付が届いたりします。

見ず知らずの人から突然コメントをもらうのは嬉しいものです。結構ブログを運営すること自体には慣れた後でもやはり、初めて挑戦する分野で評価を頂いた時はとても嬉しいです。例えば、私の別ブログTyto-Styleの前身であるFC2ブログにブロガーのKumaCrowさん(@kumacrow)から初めてコメントを頂いたときなどはテンションが上がったのを今でも覚えています。

レベル2: トラフィックの急増でブログ崩壊?

レベル2は「中心記事(Pillar Article)」の誕生とともに訪れます。「中心記事(Pillar Article)」とは、「君が最初にそれを書いてから何年も経った後でも、君のサイトを探す新しい訪問者を生み出すような人気記事(a popular article that causes new visitors to discover your site years after you first wrote it)」のことで、これが生まれるとそれまでの状況は一変します。

「中心記事」の誕生はそれまでと変わらない記事の投稿から突然訪れます。いつものようにブログを書き、RSSでフィードを流し、ソーシャル・ブックマークで宣伝する。そして、それが滞りなく済んだことを確認して、PCの前を離れます。

君がその日遅くに解析結果をチェックしたとき、君は典型的な100人以下の訪問者の代わりに、サイトが何千もの人々に訪問されたことを知って驚く。その上、君はGoogle Adsenseだけで100$を稼いでいる! 君は有頂天になる! 舞い上がるだろう! 君は…自分のブログを見られなくなっている!?

無料であったり安価であったりするレンタルサーバーを利用していると、突然膨れ上がったトラフィックにサイトが落ちていたり、停止させられていたりすることもあります(今では少なくなりましたが)

そして、その投稿は「噂になる(went viral)」のです。

SEOモードでいえば、Googleのアルゴリズムに関する記事がそれにあたるのでしょうか。あれを投稿した直後は、通常の10倍を超えるトラフィックが発生しました。障害などは特に発生しませんでしたし、Adsense収入が増えるわけでもありませんでしたが、SEOモードに与える影響は非常に大きかったことははっきりしています。

レベル3: お前は最悪だ

中心記事の投稿をきっかけに、そのブログは有名になり、多くのトラフィックを生むようになります。特に中心記事級の記事を何度か投稿するようになると、そのトラフィック量は安定します。しかしそれは必ずしもいいことばかりではありません。

これらの新しい読者の少数が、購読者になるのに十分なほどの関心を抱き、彼らは今後のブログの更新も受け取るだろう。かなりの多くの読者は「お前は最悪だ」といいたがり、コメント欄にスパム・メッセージを残し、あるいは君のコンテンツを盗用したがるだろう。

この否定的な発言をする人びとをBoyd氏は「ヘイター(Haters)」と呼んでいます。何かを憎んだり嫌ったりする人のことをヘイターと呼びますが、これらの人々はあからさまに投稿記事を否定することもしばしばです。スパマーと異なり、これらの人々へ扱いが難しいのは、彼らが単なる悪意だけではなく、自分自身の信念や思い込みによって発言をしていることが多いということです。

問題はそれだけではありません。訪問者がヘイター化するのは、私のこれまでの経験から言うと必ずしも、ブロガーの落度だけに由来するからではありません。Boyd氏はそれを次のように表現しています。

人びとが君のサイトに初めて訪れた時、彼らは実際に君が書いたものを読んでなんかいない。彼らは、時間を費やすに値するかを知ろうと流し読みする。結果的に、彼等は重要だと思えることだけを読み、文脈から引っこ抜き、メッセージを見落とし、文章の調子を誤って解釈した上に、彼らが聞きたいことしか聞かない。

このことはほとんどのブロガーが経験していることではないでしょうか。批判するために取り上げた文章を指して、まるでそれに賛同しているかのように扱われたり、「この点については別の記事で解説する」と書いたのに、「この点」について書かれていないと非難されてしまったり。

例えばSEOモードのように、翻訳記事を載せている場合などは、その元記事の意見がそのまま私の意見だと見なされてしまうこともありますね。私が翻訳した記事はもちろん価値があると思ってやっているのですが、それら全てに全面的に賛同しているわけでもなければ、元記事の著者を無条件に崇めているわけではありません。当たり前のことだとは思うのですが、それでも非難や誤解はやってきます。これはこれで気にしないようにしていますけれど、たまに本気でやる気をなくすことももちろんあります。

Boyd氏はレベル3を次のように総括しています。

レベル3は避けられない敵に関するものだ。単純な事実は全員を喜ばせることはできないってことだ。インターネット上の全員を喜ばせようとすることは不可能だ。なぜならインターネットは嫌なやつであふれているからだ。

面の皮を厚くしよう。(…)君がファンも持っていることを忘れるな。

ファンは君の努力に感謝する。ファンは君にアドバイスを求めるだろう。(…)信じてくれ、君のファンからの返答は君がほかの全てを無視する手助けになるだろう。

ファンとまではいかなくても、記事を評価し、ときに相談してくれる人がいると、嬉しく思いますし、ブログを続けようと思います。最近ではtwitterのリストなどに代表されるある種のタグ付けもそうですよね。批判されたり、非難されたりする一方で、評価してくれる人の存在は常に嬉しいものです。

レベル4: 見知らぬ人からの届け物

Boyd氏はこのレベルで、出版社から本が送られてくるようになったそうです。ブログがテーマにしているニッチ分野の専門家として認められるようになり、その分野の本が頻繁に送られてくるようになったそうです。

レベル4はメディアの窓口と見なされる存在であることだ。もしくは専門家と見なされる存在であること。あるいは君が専門家にとって、お金を投資するのに十分であると真剣にとらえられる存在であること。もっとも重要なレベルではないかもしれないが、タダの届け物がいつだってボーナスになる。

レベル5以上

Boyd氏は最近、実際に会ったことのない人物から連絡を得て、彼のブログを読んでいる、もし家が近いなら、会って一緒に飲まないかと誘われたそうです。このことから彼はレベル5を次のように表現しています。

レベル5は認知の上級レベルだ。セレブな地位でないのは確かだけれど、僕のブログが僕の社会的ネットワークを拡張する助けになり、教養ある人びとと交流させてくれるのはとんでもなくクールだ。

Boyd氏はこれ以上のことは、実際に経験した人にしか分からないだろうと書いています。それは彼と同じかも知れないし、違うかもしれません。氏はこの投稿を次のように締めくくっています。

確信しているのは、ドル製造機、成功のための踏み台、あるいはセレブな地位への片道切符としてブログを創った全ての成功したブロガーがレベル0から始めたってことだ。

君はどこかから始めなければならない。ブログの世界で、君は誰も気にも留めない最初の投稿を、ひとりのファンもなくスタートする。

もし君が本当に、君が書いていることについて関心を持ってるなら、続けよう。

続けるんだ、そうすればよりたくさんの人々が関心を持ち始めるだろう。

ついには、君はレベル0を超えて進むだろうし、君自身のレベルを探し始めることになるだろう。

あなたのレベルは?

以上、Boyd氏の投稿を紹介してきたわけですが、ブログを書いていると一言でいっても、随分色々な状況がありますね。

SEOモードの場合、Boyd氏に従うならばレベル3に上がろうと思いつつ、なかなか上がれないレベルでしょうか。

私自身の経験からいうと、そんなに人気のあるブログを運営したことはありませんが、ブログを読んでいる人からプレゼントをもらったり、ブログを通じて友人になったり、仕事に繋がったりしたことはあります。ですから、必ずしもこの通り進むわけではなく、そのブロガーの属する分野やコミュニティ、あるいはそのブロガー自身の社交性なども大きく影響すると思います。

とはいえ、それなりにステップを歩んできた人のほとんどがレベル3ぐらいまでに書かれているような経験はするのではないでしょうか。いつか1000ドルを稼げるようなブログに、などとはもちろん思っていませんが、今後も私の人生にいい影響を与えてくれればいいな、と思いつつ、時間を見つけてブログを書いています。

今これを読まれているあなたのレベルはどれくらいでしょうか。あるいは、ここで書かれているレベルには全く当てはまらないようなステップをこれまで進んでこられたのでしょうか。一度、ご自身のブロガーとしての歩みを振り返り、今どの辺りにいるかを考えることで、もう一度次のステップへと進む方法を考えてみるのもいいかもしれませんね。