近年のソーシャルメディアの浸透で従来のSEOだけを行っているだけではなかなか成果に結び付けることができないケースも多くなっています。先日のDAO(デジタルアセット最適化)に関する記事でも紹介しましたが、最適化できるものは可能な限り最適化を試みたいものです。
この意味で、新しいものではありませんがソーシャルメディア最適化(SMO)もますます重要になっているように思います。SMOに関するより包括的な事柄は、SMOの提唱者であるRohit Bhargava氏の「5 Rules of Social Media Optimization (SMO)」をはじめとするいくつかの記事をもとに、住太陽氏が「進化する SMO ― SMOの18のルール」で丁寧に翻訳されているものがありますので、そちらをご覧になることをお勧めいたします。
ここではSEOとSMOの関係について興味深い視点を提供してくれているBrian Solis氏の「Social Media Optimization: SMO is the New SEO – Part 1」をSolis氏の許可を得て翻訳しましたのでご紹介したいと思います。
個人的にはSolis氏のSMOをSEO戦略の一部とする等SMOに関する捉え方において必ずしも賛同できない部分もありますが、ソーシャルウェブの拡大の中での検索行為の変遷を適切にとらえ、そのための取り組みを説いているという点でとても参考になると考えています。
- ソーシャルメディア最適化: SMOは新しいSEO ― Part 1
- ソーシャルメディア最適化: SMOは新しいSEO ― Part 2
Social Media Optimization: SMO is the New SEO – Part 1
事柄の一貫性を保つために、ヘッドラインは変えていない。しかし、この投稿を読むためには本文においてSMOは総合的なSEO戦略(SEO + SMO = 従来のウェブ及びソーシャルウェブにおける増幅するファインダビリティ[Amplified Findability])の一部であると考えて欲しい。
ブランド、出版者、デザイナー、写真家、芸術家あるいは映画制作者として、ソーシャルウェブはあなたの新しい流通経路であると同時に知的資産のためのポートフォリオである。あなたが、創作、マーケティング、販売あるいは流通メディアにいるかどうかにかかわらず、ソーシャルウェブはいずれも積極的なプロモーションを行うことなくブランドを生み出し、可視性を確立し、需要を構築する驚くべきメディアである。人びとが検索する際に、コンテンツを見つけ出しやすくするインバウンド・マーケティングを、ソーシャル化して実践することであなたの専門知識や作品を売り込むことが可能になる。
これなら耳に馴染むかもしれない。結局のところ、これは検索エンジン最適化(SEO)目的だ。そうだろう? 我々は人びとが関係のあるコンテンツを探し出すためにGoogleやYahooのような検索エンジンを使うことを知っていて、検索エンジンの検索結果ページ(SERPs)で発見されるように自分たちの作品を最適化する。
しかしながら、SEOを実装することに関わる専門技術はFacebookやMySpace、YoutubeやTwitterのようなソーシャル・ネットワークにおいて可視性を高めるために必要とされるのと同じ作業ではない。そしてこういったソーシャルネットワーキングで、人びとはますますコミュニケーションをとり、関係や興味があるコンテンツを探し出し、彼らと繋がりのある人びととそれを共有することに時間を費やしている。だから今日SEOに加えて、我々はこの新しい環境で目につきやすいよう自分たちのコンテンツにソーシャル・メディア最適化(SMO)を実践し管理しなくてはならない。
これに失敗するということは大きな損失である。毎日、人びとが彼らのソーシャルグラフの中やその周りで新しいコンテンツを発見するためにソーシャルなネットワークに語りかけている。最近のニールセンの研究によれば、Wikipediaやブログ、そしてソーシャルネットワークのようなソーシャルメディアサイトは検索を始める場所の18%を占めており、個々人により深い分析や詳細を見つけやすくする情報提供に特化したサイトを凌いでいる。これは今日ようやく活気づいてきた傾向である。ニールセンがいうように、「ソーシャルメディアは中心的な商品研究の経路になりつつある」のだ。
行動に関するこの重要な移行は、あなたの価値や見識から恩恵を受ける人びとにそれらを結び付けるチャンスを表している。
私はプロの写真家ではない。しかし、私の画像が現れる場所であなたがそれを知ることはないだろう。FlickrやFacebookに熱心に投稿を行うことで、私の写真は結果的にハリウッドや雑誌、新聞、ブログそしてイベント主催者の注目を得た。しかし、それは写真の個性的な質やそれぞれのショットのフレーミング、芸術的な観点、あるいはドラマティックな構成で抜きん出ていたのではない。単純に関連するコンテンツを探す人びとに写真を見つけやすくしたのだ。同じことは、ScribdやDocstocのようなコンテンツネットワークで記述し、公開した多くの記事や論文にも当てはまる。
SMOとは、それが機能する時と機能する所での、ソーシャル・オブジェクトの流通とあらゆる関連検索クエリのトップに達するための能力、と定義される。
成功するSMOプログラムの中心にあるのはソーシャル・オブジェクトである。ソーシャル・オブジェクトは画像や動画、ブログ記事、コメント、ステータスの更新、掲示板(wall posts)を含む我々がソーシャルメディアにおいて作成したコンテンツと、オンライン会話の発火点となり得るその他全てのソーシャルな活動を意味する。このように、SMOの目的は積極的にさらなる情報や目標を求める個々人と繋がる手段としてのソーシャル・オブジェクトを見つけられやすくすることである。
会話の中心として機能し、これらのソーシャル・オブジェクトはFlickrに投稿する画像、Yotubeにアップロードする動画、Upcoming.orgに追加するイベント、Facebookで共有される掲示板、Twitterを飛び交うツイート、Deliciousでブックマークされるリンク、Diggでの投じられる票、Foursquare上でチェックインする場所、Docstocに公開する文書、Yelpに投稿されるレビュー、Ningでテーマに即して作られたコミュニティ、ブログの投稿やコメントで共有された考え等によって象徴される。それらはソーシャルメディアにとって、従来のウェブにとってのウェブ・オブジェクトやページ、サイトである。SEOが例えばGoogleやYahooで、コンテンツを発見されやすくするように、SMOは関連コンテンツを探し、検索を実行する個々人とソーシャル・オブジェクトの本質的な架け橋を構築する助けとなる。
ソーシャル・オブジェクトは ―オンラインや実際の生活における― 会話と出来事のきっかけ(catalysts)でもあるし、それらは個々の社会内での行為にも影響を与える。Youtubeが関連動画をどのように勧めてくるか、あるいはソーシャルネットワークのコンテンツがあなたが検索で用いるキーワードにどのようにリンクされるのか疑問に思ったことはないだろうか。ソーシャルメディアの検索結果はメタデータとして共通して言及されるそれぞれのソーシャル・オブジェクトに植えつけられる要素によって定義される。本質的に、メタデータは他のデータを定義づけるデータなのである。
ソーシャルウェブはメタデータに依拠しており、ソーシャルネットワークやブログの至る所にアップロードされる大量のユーザー生成コンテンツを分類し体系化する群衆(the crowds)を活用している。ある意味で、我々は他の人びとが役立つソーシャルオブジェクトを迅速かつ容易に見つける手助けをするために大量にそれらをインデックスすることで、ウェブの司書になったのだ。
最低限、ソーシャルオブジェクトはキーワードやタイトル、ディスクリプション及び/又はタグを通じて文脈の中に当てはめられる。このソーシャルオブジェクトの性質を理解することは、これは私が来月論じることになるトピックだが、成功するソーシャルメディア最適化プランの最も重要な視点のひとつである。
Brian Solis氏について
Brian Solis氏はデジタルメディアやソーシャルメディアを扱うエージェンシー、FutureWorks社の創立者であり社長を務められています。同社のプロフィールによるとデジタル・アナリスト、社会学者、未来学者としても活躍されており、いくつか本も出版されています。最新のものは「Engage: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web」というタイトルで近日発売されるとのことです。興味のある方はこちらもご覧になってはいかがでしょうか(※誤解のないように書いておきますが、リンク先で購入されても私の利益にはなりません)。氏の活動に関してはTwitter(@briansolis)をはじめ各種ソーシャルメディアでも追いかけることができます。
記事インデックス
- ソーシャルメディア最適化: SMOは新しいSEO ― Part 1
- ソーシャルメディア最適化: SMOは新しいSEO ― Part 2