SEOやソーシャルメディアのためのリンクベイトについて、Econsultancyの記事「15 linkbait techniques for SEO and social media」でまとめられていました。

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© Podknox

私自身がリンクベイティングをスマートに行えるタイプではないので、そのものずばり、といったものをあまり実践も提案も共にしなかったりするのですが、コンテンツの作成や、提案においてそれを常に念頭に置くようには心がけています。というのもSEOにおいて、自然で効果的なリンクを集めるときに、これらのテクニックを意識しておくことが非常に重要になってくるからです。

しかしながら、リンクベイティングそのものはしばしば、否定的に語られます。同記事でも次のように書かれています。

リンクベイティングは時に否定的に解釈される。おそらく、一部のリンクベイティングのテクニックが意図的に意見を分裂させるからだろう。しかし、たいていリンクベイトは素晴らしいコンテンツを作成するということの一例であるに過ぎない。

実際に「煽る」「釣る」といったリンクベイティングの手法は必ずしも手放しで勧められるものではないでしょうが、これらを全く考えずに宣伝をした場合、集まるはずの注目やリンクを最大化できない可能性もありますし、同時に色々なところでそのテクニックが採用されているがゆえに、こちらもある程度対抗措置として考慮する必要があります。

どれぐらい露骨にするのか、どれくらいの頻度を行うのか、といったことは事例に応じて異なるでしょうが、リンクベイティングに対して否定的な意見を持っている人であっても、やはり意識しておく必要はあると思います。

ここで紹介されている「リンクベイティング戦術」は一覧にすると次のようになります。

  1. リスト
  2. インフォグラフィックを作る
  3. 議論を行う
  4. 賛否両論を呼ぶ、あるいは馬鹿げたことを言う
  5. 天邪鬼になる
  6. ツールを作る
  7. コンテストを行う
  8. 独占記事を手にする
  9. ホワイト・ペーパーをリリースする
  10. 有益なものにする
  11. 楽しませる
  12. 人びとを巻き込む
  13. Appleの悪口をいう
  14. 素晴しく、魅力的な見出しを書く
  15. 新しいことをする

これらのリストについては、13番目の項目が一番気になりましたが(「正直言って、これは絶対に失敗しない」とのことです、笑)、それ以外については同記事よりも、むしろ住氏の2007年の記事「驚くほどリンクが集まる『リンクベイティング』に世界中が釣られている」を読んでいただく方が分かりやすいでしょう。

「15 linkbait techniques for SEO and social media」を読んで思ったのは、内容が住氏の記事と被る部分もあり、3年経っても、同じような手法が通用しているんだ、ということですね。しかし、考えてみれば、これらの手法は、本質的には注目を浴びるための手段として、古くから用いられてきたものですし、そういう意味ではいつでも通用する手段ともいえるのかもしれません。

個人的に最も興味深かったのは、次のように書かれてることでしょうか。

ずっと前、人びとがあなたの記事についてブログを書いた頃からすると、今日では、彼らはツイッターでリンクをシェアすることを選ぶかもしれない。そして、それは全く同じことというわけではない。

(…)

ソーシャルなプラットフォームの隆盛は、リンクベイトが少し異なって作用するとはいえ、かつてなく強力であることを意味している。この記事がTwitterでヒットしたら、(うまくいけば)人びとがそれをリツイートし、そのネットワークから恩恵を受けるだろう。しかし、この記事が、500回リツイートされたら、私は(twitter.comの)同一ドメインからたくさんのリンクを得ることになり、これは自身のブログからこのページへリンクを貼る500人のブロガーを手に入れることほど強力なものではない。

理想的なシナリオは、この認知がTwitterのバーチャルな壁を越えて、他のソーシャルメディアサイトやブログへと広がり、他のドメインからの新しいリンクを引き付けることである。そうするために、あなたはフォロワーのネットワークを構築し、あなたの聴衆について知り、そしてはっきりと彼らのために書く必要がある。

Twitter等の広がりは、こうしたリンクベイティング効果のリアルタイム化を進めており、以前に比べるとずっと早いスピードでその効果が波及していく可能性がありますね。

同記事では同一ドメインからのリンクについて書かれていますが、これは確かに、別々のブロガーからリンクを得たときほど強力ではないかもしれません。しかし、個人的にはそれでも十分効果があると考えています。

ひとつには、Twitter自身のドメインが非常に強力ですし、また、今日多種多様なメディアがTwitterと連携するようになった結果、自然にドメインを越えてリンクが広がっていくからです。そもそもTwitter自身のリンクにはnofollowが入っていますが、それでもSEO効果があるのではないか、という議論については以前、「ツイートの残留効果がSEOに影響を与える」でも紹介しました。

しかし、Twitterに見られるリアルタイム性は、一方で、その波及する時間をこれまでにないくらい短いものにしてしまっている印象もあり、一生懸命作成したリンクベイティング・コンテンツの流行が呆れるほど一瞬で終わってしまうこともありますね。

また一方で、ソーシャルメディアがリンクベイティングの重要な要素になったということに関しては、ソーシャルグラフを把握しやすくなったことで、より入念な対策を練ることができるようになったともいえるかもしれません。

「あなたはフォロワーのネットワークを構築し、あなたの聴衆について知り、そしてはっきりと彼らのために書く必要がある」とのことですが、例えば、普段からフォロワーと会話をすることで、どのようなツイートがRTされやすいかの傾向が見えてくるといった単純なことに注目することからでもできることがあるのではないでしょうか。

ソーシャルメディアが全盛の時代におけるリンクベイティングは、項目こそ数年前とあまり変わらないものの、このようなリアルタイム性への配慮や一過性の度合が増していることへの対策、ソーシャルグラフの分析など、その内容においてまた少し違った視点を加味されなくてはいけないということなのでしょうね。

記事を読みつつそんなことを考えました。興味のある方はぜひ、原文を読んでみてくださいね。